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「ヘルペス」という言葉は、ギリシャ時代からあり、水ぶくれが集まった状態のことをいいます。単純性疱疹と帯状疱疹があり、どちらも命にかかわる病気ではありませんが、帯状疱疹は痛みが残ってしまう場合があります。ヘルペスは、ウイルスによる感染症ですが、単純性疱疹と帯状疱疹では原因ウイルスが違います。
兵庫県の皮フ科では、主だった病気について調査を行っています。その結果、単純性疱疹で一つの皮フ科を受信される患者さんは、1カ月あたり10名くらいです。
単純性疱疹ウイルスには、1型と2型の2種類があります。1型は口(図1)を中心とした顔によく出ますが、手(図2)や体に出ることもあります。2型は、性病の一種と考えられており、外陰部に出ます。
(図1)
(図2)
”熱の華”とも呼ばれているように、風邪で熱が出た後などによく発症します。皮フ症状が出る前にピリピリとかチクチクとかムズムズするという人がほとんどで、早めに飲み薬を服用することがポイントです。赤く小さく膨れていたのが小水疱からかさぶたとなり、半月くらいで治ります。
アトピーの人が初めて単純性疱疹を発症すると、疱疹が広範囲に広がる「カポジ水痘様発疹症」(図3、図4)となり、重症化するおそれがあります。
(図3)
(図4)
単純性疱疹ウイルスは、一度発症すると一生潜んでいて、体調が悪くなった時に、同じところに繰り返し出てくるのが特徴です。
皮フ科では日常よくみられる病気の一つで、年間50万人、5人に1人が一生のうちでかかると言われています。何回もかかる人がいる単純性疱疹と違い、2回かかることはまれです。60歳代をピークに高齢者に多く、部位的には胸から背中にかけてが最も多いです。重要なのは、左側なら左側、右側なら右側と片側だけ出るという事です。
疱疹が出る1週間前から間欠的な痛みが出て、まず「肩が痛い」とか「腰が痛い」といって整形外科を受診される人もおられます。
帯状に紅班、小疱疹が出て(図5)いる患者さんには、ヘルペスの薬を飲んでいただきますが、すぐ効くわけではありません。「3~4日は悪化して広がるし、痛みも強くなりますが、私がヤブ医者だからというわけではありません」と説明します。7日ほどでかさぶたとなり(図6)、皮フが元通りになるのには数カ月を要します。
(図5)
(図6)
気をつけていただきたいのは、目のあたりに疱疹が出ている場合です(図7)。こういう場合は眼科の受診が必要です。ヘルペス性の角膜炎や結膜炎で目に後遺症が残る場合があるからです。まれにラムゼイハント症候群といって、耳のあたりに疱疹が出て(図8)、顔面神経麻痺や難聴になることがあります。
(図7)
(図8)
最も困るのは帯状疱疹後神経痛です。死ぬまでチクチク、ピリピリするという人もまれにおられます。痛みが強い人には、早めに麻酔科で神経ブロック注射をしたり、イオントフォレーシスという痛みをやわらげる治療をしたりすることもあります。
帯状疱疹は、痛みを伴う疱疹が体の片側だけに出るので、誰にでもわかりすい病気です。早め早めに皮フ科を受診しましょう。
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